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10月1日、菅総理の日本学術会議の任命拒否と言う異例の問題が起き、全国の多様な主体に波紋を広げている。
10月3日の東京新聞でも大きく取り上げられている。この問題について、該当記事と共に少しFacebookで取り上げた。
法律が制定された72年前の当時の状況は、国家記事録からも見て取れる。戦後の日本復興の為に全科学者が一致協力して現下の危機を救う必要があるとしている。
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<第2回国会 参議院 文教委員会 第2号 昭和23(1948)年6月15日>
○國務大臣(森戸辰男君) 日本学術会議法案について提案理由を御説明申上げます。
本法案の規定いたしまする日本学術会議は、内閣の所轄に属することが予定されておるのでありますけれども、設立の準備事務を文部省に委託されましたので、その関係から私が御説明をすることになつておるのであります。さて、敗戰後の我が國が貧困な資源、荒廃して産業施設等の悪條件を克服して、文化國家として再建すると共に、世界平和に貢献し得るためには、是非とも科学の力によらなければならないことは申すまでもございません。従來我が國の学界を顧みますと、個々の研究においては優れた成果が必ずしも少いとは言い得ないに拘わらず、その有機的、統一的な発達が十分でなく、全科学者が一致協力して現下の危機を救い、更に科学永遠の進歩に寄與し得るような体制を欠いていたことは、科学者みずからによつて指摘せられていたところであります。ここにおいて我が國從來の学術体制に再檢討を加え、全國科学者の緊密な連絡協力によつて、科学の振興発達を図り、行政、産業及び國民生活に科学を反映滲透させる新組織を確立することが、科学振興の基本的な前提となるであります。言い換えれば、科学者の総意の下に、我が國科学者の代表機関として、このような組織が確立されて、初めて科学による我が國の再建と、科学による世界文化への寄與とが期し得られるのであります。この法案制定の理由は、右のような役割を果し得る新組織、即ち科学者みずからの自主的團体たる日本学術会議を設立するにあるのであります。
次に、この法案の内容を申上げますと、先ず日本学術会議設立の趣旨を明らかにいたしますために、只今申上げましたような前文が附せられているのであります。次に本文に入りましては、第一章に日本学術会議を法律により設立することを明記し、その目的とするところを掲げました。第二章におきましては、日本学術会議が政府の諮問的、審議的機関としての性格を有するが、その活動は飽くまで科学者の自主性、独立性に基いて行われることを明記して、その職務及び権限を謳いました。第三章、第四章及び第五章におきましては、日本学術会議は、一定の資格を有する全國の科学及び技術の研究者によつて選挙される会員を以て民主的に組織されること、その他日本学術会議の構成、その会議等について規定いたしました。次に第六章以下におきましては、日本学士院を碩学優遇の栄誉機関としての性格を明らかにして、日本学術会議に含ましめること、学術研究会議は、その機能が日本学術会議に吸收されるから、これを廃止すること等を示しました。
以上本法案制定の理由、性格並びに内容の概略を御説明申上げたのでございますが、この法案は、我が國の新学術体制の立案、企画を目的として、昨年八月全國科学者の民主的選挙によつて選出された委員百八人を以て結成せられました学術体制刷新委員会におきまして、約七ヶ月に亘り愼重審議を重ねて成案を基といたしまして、殆んどこれを変更することなく、政府において立法化したものであります。この意味におきまして、本法案は我が國科学者の総意を反映して民主的に立案された眞に歴史的なものと称し得るのでありまして、日本学術会議の成立は、全國科学者の切望するところであると信じます。何とぞ愼重御審議の上、御協賛あらんことをお願い申上げる次第でございます。
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これが偶然なのか、意図的なのかは、全く不明だが「日本学術会議法」が制定されている同じ年(1948)に国際自然保護連合(International Union for Conservation of Nature and Natural Resources、IUCN)が創設されている。国家、政府機関、NGOなどを会員とし、本部はスイスのグランにある。日本は1978年に環境庁が日本の政府機関として初めて加盟、1995年に国家会員として加盟した。そもそもIUCNは、世界の科学者が集まって世界の野生生物の現状を把握して、地球環境の危機の一つとしてレッドリストとレッドデーターブックを発刊している。現在もこの科学的な知見から地球環境の危機を訴えている。
科学者による政策について最近では、日本生態学会が主導して特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(外来生物法)が平成16年法律第78号として、2004年(平成16年)6月2日に公布され、2005年(平成17年)6月1日に施行されている。外来生物の選定や指定なども科学者が主体となり進めている。
また、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法)も2019年に施行された改正法から法律の第4条7項に「7 環境大臣は、第三項から前項までの政令の制定又は改廃に当たってその立案をするときは、野生動植物の種に関し専門の学識経験を有する者の意見を聴かなければならない。」と科学委員会の設置を行っている。
さて、科学者は社会貢献として、社会のために、その知見を供しているものと信じている。その科学が政治の力で歪められたら、私たちは何を信じてこの地球に生きていけば良いのだろうか?
日本学術会議の任命拒否と愚行を許してはならない。
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追加のお知らせではあるが、日本学術会議では、様々な公開イベントが開かれている。