自然保護とは
1973年4月20日に刊行された「自然保護と生態学」(沼田真、共立出版(株))の2ページに、要約として「自然保護とは」何かが書かれている。
要約
自然保護とは、自然を人間のために、よい状態で保存し、荒廃しないように利用・維持・管理をし、ひいては改造することまでふくめた広義の概念である。 その自然は、人間と敵対関係にある自然ではなく、人間がその一員である生態系の構成要素であり、自然保護とは生態系の保全に他ならない。 人間のためとは、健康な生活、衣食住などの資源、 リクリエーション、研究、教育、美的鑑賞などである。この多くの目的のために①よい状態で保存する(天然保存地域のようなもの、極相あるいは特定の途中相)② 荒廃しないように利用し、維持・管理する(草地の適正な利用、漁獲量の規制、獣類の数の規制、等高線栽培、水源涵養林など)③悪化しないように処理する(水質汚濁、大気汚染の防止など)④ 生態系の改造(都市の緑化、大造林による気候緩和など) などをとりあげるのが、広義の自然保護である。 環境悪化の基本的な背景には、人口増加とそれにともなう食糧問題がある。 環境資源、保存地域、保存景観、保存生物などについて、 それぞれに応じた保全の技術が考えられねばならない。